思い出の空港にて
スタッフ二人に空港まで送ってもらうなんて初めてでした。
なんだかちょっと恥ずかしくて、
「いいよ。ここで・・・」
って言いながらも、内心ちょっぴり嬉しくもありました。
飛行機の中から展望デッキで旅立つ人を見送り、手を振る人たちの姿を眺めながら、
16歳の頃、この同じ空港からアメリカに旅立ったあの日のことを思い出しました。
母と友人、先生の20名ぐらいが、飛行機の中にいる私に向かって手を振ってくれた、
あの日。
末期ガンで余命宣告を受けた母は、亡くなる数日前にあの日のことを思い出しなが
ら、私に話してくれたのです。
「お友達や先生も来てくださっていたから、私一人で泣くわけにはいかなったけれど、
奈津子を見送った帰りの車の中で、一人で声をあげて泣いたのよ」。
確かアメリカに旅立つ日の母は、いつもと変わらない母であった記憶が残っているの
に、そんな気持ちで私を見送ってくれていたなんて・・・。
そんな母の心中を残り少ない二人だけの時間の中で聴かされて、胸がジーンと痛み
せつなくて涙がとまらなかったことを思い出しました。
そして同時に、親の有り難さを、つくづくと感じた時間でもあります。
愛情って深ければ深い程、おもいを相手に押し付けることなく、一方的でもなくて、
そのままの相手をそのまま受け入れることなんだと、母を通して教えてもらった気
がしています。
いつも私を信じ、私の生き方を尊重してくれた両親がいたからこそ、今の私もまた、
自分が選んだ自分の人生を、たくさんの人たちに支えられながらしっかりと歩むこ
とができているのでしょう。
そして、そんな母との思い出を、改めて思い出させてくれたうちのスタッフにも感謝した
い今日一日でした。


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